運送業の経営者の皆様、本日もお疲れ様です。

今日は、過去に私の会社で実際にあった「ある配車依頼」についてのお話をします。 相手は、某メーカーの下に入っている準大手の運送会社。電話口でのやり取りは、まさにこの業界の「リアル」を凝縮したような内容でした。

1. 典型的な「地雷案件」の会話パターン

まず、相手はいつもの流れで探りを入れてきます。

「〇日の〇時、〇t車空いてますか?」

こちらが車両の空き状況を確認すると、堰を切ったように荷物の説明が始まります。

  • 荷物の内容
  • 重量
  • 指定の着時間

ひとしきり条件をまくし立てた後、最後に相手はこう言います。 「何とか、何とかお願いできませんか?」

……お気づきでしょうか。ここまで来ても、彼らは一番肝心な**「運賃」を言わない**のです。

2. 「3つです」「高速は別ですよね?」

嫌な予感がしつつ、少しイライラして私から切り出しました。 「で、運送費はいくらでしょうか?」

すると相手は、少しトーンを落としてこう言いました。 「3つです」

一瞬、意味が分かりませんでした。神戸から広島までの中距離です。 「え、3つって3万円ですか? 高速代は別ですよね?」

返ってきた言葉は、耳を疑うものでした。 「込み(オールイン)なんですよ」

私は思わず、電話口で笑ってしまいました。 「普通に無理ですね。高速代と燃料費にもならないですよ。一体、誰が行くんですか?」

当たり前のようにお断りしました。

3. 原価割れの仕事は「受ける側」もリスクを負う時代

神戸から広島まで、仮に大型や中型トラックで走れば、高速代と往復の燃料代だけで3万円などあっという間に吹き飛びます。人件費や車両の償却費を考えれば、**走れば走るほど赤字になる「異常な原価割れ案件」**です。

長年この業界にいれば、こうした価格の話が出てくること自体は珍しくありません。「昔からこの運賃だから」と感覚麻痺を起こしている元請けは山ほどいます。

しかし、経営者の皆様。今後は、こうした案件を「仕方ない」と受けてしまうことに対して、極めて強い警戒が必要です。

4. 行政の目は「適正運賃の収受」に光っている

昨今の「トラック新法(物流関連2法)」や、トラックGメンによる監視強化など、国は本気で運送業界の多重下請け構造と低運賃にメスを入れています。

今後の巡回指導や行政監査、あるいは事業継続のチェックにおいて、**「適正な運賃を収受しているか(不当な原価割れ運行をしていないか)」**という点は、かつてないほど厳しく見られます。 コンプライアンスを無視した異常な低運賃での運行を常態化させていれば、いずれ必ず行政の指導で躓くことになります。

「仕事がないから」と赤字の仕事に飛びつくことは、会社の寿命を縮めるだけでなく、事業許可の維持すらも危うくする時代なのです。


まとめ:断る勇気が、会社と許可を守る

「誰が行くんですか?」と私が当たり前のようにお断りしたあの仕事も、おそらくどこかの運送会社が、泣く泣く引き受けてしまったのでしょう。

付き合いもあり、次回で穴埋めするとかの「やり取り」あったのかもしれませんがこれからの時代は通用しないです。

どんぶり勘定で引き受けたその仕事は、ドライバーを疲弊させ、トラックを摩耗させ、会社の利益を確実に奪っていきます。原価を知り、異常な依頼にはハッキリと「NO」を突きつける。それが、今の時代を生き抜き運送許可を守る経営者の最低条件です。


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この記事を書いた行政書士

岩本 哲也

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