運送業の経営者の皆様、本日もお疲れ様です。

「あと1万円、運賃を上げてほしい」 その一言がどうしても言えなくて、今日も黙ってハンドルを握り、無理な配車を組み、心身をすり減らしていく。そんな経営者の姿を、私は27年間、運送の現場で嫌というほど見てきました。かつての私自身も、間違いなくその一人でした。

なぜ、正当な対価を求めることに、これほどの「後ろめたさ」を感じてしまうのでしょうか。 それは、あなたが不誠実だからではありません。むしろ、長年付き合いのある相手に迷惑をかけたくないという**「優しさ」と「責任感」**を持っているからです。

しかし、厳しいことを言います。その優しさが「どんぶり勘定」と結びついたとき、それは会社と従業員を蝕む猛毒に変わります。

1. 「少し多めにもらいすぎか?」という罪悪感の正体

「本当はこれくらいでいけるんじゃないか?」 「多めに吹っかけていると思われないか?」

客観的な根拠(データ)のない交渉は、どこかで「相手から奪っている」「騙している」という錯覚を生みます。この良心の呵責こそが、運賃交渉における最大の敵です。 メンタルが負けている状態(引け目を感じている状態)で、百戦錬磨の荷主と対等に渡り合えるはずがありません。

2. 数字は、あなたを「罪悪感」から解放する

では、どうすればいいのか。想像してみてください。 一運行あたりの燃料代、高速代、人件費、そしてタイヤ一本の摩耗費に至るまでが、一円単位で可視化されたシートが手元にある状態を。

その数字が**「この運行は1,500円の赤字です」と冷徹に示しているとき、あなたの荷主に対する「お願い」は、「商売を継続するための通告」**へと劇的に変わります。

「これ以上下げたら、うちは御社の荷物を安全に運べなくなります。それは、お互いにとって最大の損失ですよね?」

原価を知ることは、決して相手を攻撃するためのものではありません。 「自分たちはこれだけのコストと命をかけて、あなたの商売を支えているのだ」という、運送事業者としての誇りを取り戻すための作業なのです。

3. 積み上がらない仕事だからこそ、一運行に命をかける

運送業は、今日届けた実績が明日を自動的に楽にしてくれる「ストック」の商売ではありません。一運行が完結すれば、また明日もゼロからのスタートです。 積み上がらないからこそ、一つ一つの運行の「利益」が死活問題なのです。

「バレなきゃいい」で健康診断をスルーし、修理費という名の「利益泥棒」に目を瞑り、どんぶり勘定のまま良心の呵責に耐え続ける……。そんな日々は、今日で終わりにしませんか。

まとめ:いい笑顔で、交渉のテーブルへ

私は、事務所のデスクで小難しい書類を書くだけの行政書士ではありません。 27年、現場であなたと同じ排気ガスの匂いを嗅ぎ、同じ痛みを味わってきた人間として、荷主と戦うための**「数字という最強の武器」**を一緒に作りたいと本気で思っています。

自社の本当の原価を知れば、あなたはもっと自信を持って、いい笑顔で交渉に行けるはずです。

この記事を書いた行政書士

岩本 哲也

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