運送業経営者・運行管理者、そしてドライバーの皆様、本日もお疲れ様です。
夏場のトラック運転で気を付けたいことの一つが、睡眠不足による居眠り運転です。
7月になると気温が高い日が続き、夜も寝苦しくなることがあります。
十分な時間布団に入っていても、暑さで何度も目が覚め、朝になっても疲れが残っていることがあるでしょう。
それでも、仕事の予定が入っていれば出勤しなければなりません。
「少し眠いけれど、運転していれば目が覚めるだろう」
そんな気持ちで乗務を始めることがあるかもしれません。
しかし、睡眠不足による集中力の低下は、本人が思っている以上に危険なものです。
今回は、夏場の睡眠不足と居眠り運転の危険性、そして現場でできる対策について考えます。
居眠り運転は突然起きるとは限らない
居眠り運転というと、運転中に突然眠ってしまう場面を想像するかもしれません。
しかし、実際にはその前から集中力や注意力が低下している場合があります。
前方の車の動きに気付くのが遅れる。
道路標識を見落とす。
いつもなら気付くはずの危険を見逃す。
こうした状態も、疲労や睡眠不足によって起こり得ます。
さらに眠気が強くなると、ほんの短い時間、意識が途切れるような状態になることがあります。
トラックは走行中、わずかな時間でも相当な距離を進みます。
たとえば時速60kmなら、3秒間で約50m進みます。
その間に前方の車が停止していても、運転者が反応できなければ、ブレーキをかけることすらできません。
居眠り運転の怖さは、危険を認識してから対応するという、通常の事故回避行動そのものができなくなることです。
夏は睡眠時間だけでなく睡眠の質にも注意する
夏場の睡眠不足は、単に夜更かしをしたことだけが原因ではありません。
暑さによって寝付きが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めたりすることがあります。
特に早朝から出勤するドライバーの場合、もともと睡眠に使える時間が限られていることもあります。
そこへ寝苦しさが重なると、翌日の運転に影響する可能性があります。
大切なのは、十分な睡眠時間を確保するとともに、眠りやすい環境を整えることです。
室内の温度や湿度を調整し、無理に暑さを我慢しない。
寝具やエアコンを適切に利用し、できるだけ快適に眠れるようにする。
こうした生活上の工夫も、運転の安全につながります。
また、必要な睡眠時間には個人差があります。単純に何時間眠れば全員が安全というものではありません。
朝起きたときに強い眠気や疲労感が残っていないか、自分の状態を確認することも重要です。
トラックドライバーは運転以外でも疲れている
運送業の仕事は、運転だけではありません。
荷物の積込みや荷下ろし、荷締め、シート掛けなど、体を使う作業もあります。
特に平ボディトラックやユニック車では、屋外で作業する機会が少なくありません。
真夏の建設現場や資材置場では、日差しや地面からの照り返しによって体力を消耗します。
荷役作業を終えたときには、すでに相当な疲労を感じていることもあるでしょう。
しかし、その後にトラックを運転して帰らなければならない場合があります。
作業が終わったから一安心、というわけにはいきません。
むしろ、体を使った作業の後だからこそ、運転中の眠気や集中力の低下に注意する必要があります。
眠気を感じたら安全な場所で停車する
運転中に強い眠気を感じた場合、最も重要なのは無理に走り続けないことです。
窓を開ける、音楽をかける、ガムをかむ。
こうした方法で一時的に気分が変わることはあるかもしれません。
しかし、睡眠不足そのものが解消するわけではありません。
強い眠気を感じたときは、安全に停車できる場所を探して運転を中断する必要があります。
短時間の仮眠は眠気への対策の一つです。
15〜20分程度の仮眠が役立つ場合もありますが、仮眠後も眠気が残る場合には、運転を再開するべきではありません。
また、起床直後は頭が十分に働かないことがあるため、目覚めてから状態を確認し、必要な時間を取ってから運転を再開することが大切です。
仮眠だけでは回復しないほどの疲労がある場合は、会社に連絡して運行の継続を相談する必要があります。
休憩場所の確保も簡単ではない
運行管理者として考えておきたいのが、ドライバーが実際に休憩できる場所を確保できるかという問題です。
高速道路のサービスエリアやパーキングエリアが混雑していることもあります。
一般道路でも、大型トラックを安全に停車できる場所は限られています。
そのため、眠くなったらどこかで休めばよい、という考えだけでは不十分です。
あらかじめ休憩できる場所を確認し、無理のない運行計画を立てておく必要があります。
また、夏場は停車していても車内が高温になることがあります。
エアコンの状態や休憩環境にも注意が必要です。
安全に休める環境を整えることは、ドライバー個人の問題ではなく、会社として取り組むべき課題です。
点呼で「大丈夫です」と言われたら
運行管理者は、点呼の際にドライバーの健康状態や疲労の有無を確認します。
しかし、「体調は大丈夫ですか」と聞くだけでは、十分な確認にならない場合があります。
ドライバー自身が疲労を軽く考えていることもあれば、仕事に穴を開けたくないという気持ちから、体調不良を言い出しにくいこともあります。
だからこそ、睡眠状況を具体的に確認することが大切です。
「昨日はよく眠れましたか」
「途中で何度も目が覚めませんでしたか」
「今、眠気やだるさはありませんか」
こうした質問に加え、表情や受け答えの様子なども確認する必要があります。
ただし、見た目だけで健康状態を判断することはできません。
本人の申告を丁寧に聞き、必要に応じて乗務を見合わせる判断が求められます。
体調不良を申告しやすい職場になっているか
ドライバーが体調不良を正直に報告するためには、会社側の姿勢も重要です。
眠れなかったと伝えたときに、毎回「それくらいで休むのか」と言われるようでは、次から申告しにくくなるでしょう。
もちろん、運送会社としては急な欠勤や配車変更への対応が簡単ではありません。
私自身、配車に携わっているので、予定していたドライバーが乗務できなくなった場合の難しさはよく分かります。
代わりのドライバーがすぐに見つかるとは限りません。
それでも、正常な運転ができないおそれのある状態で乗務させることは避けなければなりません。
一度の無理な運行が重大事故につながれば、ドライバー本人だけでなく、会社や荷主にも大きな影響が及びます。
体調不良を申告したドライバーを責めるのではなく、必要な配車調整を行える職場にしていくことが重要です。
まとめ|眠気を我慢することは安全運転ではない
夏場の睡眠不足や疲労は、トラックドライバーの集中力や判断力に影響します。
特に、荷役作業で体力を消耗した後の運転には注意が必要です。
運転中に強い眠気を感じたら、無理に走り続けず、安全な場所で運転を中断する。
十分に回復しない場合には、会社へ連絡して運行の継続を相談する。
また、始業時の点呼では、睡眠不足や体調の異常を正直に伝えることも大切です。
運行管理者も、ドライバーが安全に休める運行計画と環境を整える必要があります。
眠気を我慢して予定どおりに走り切ることが、よい仕事なのではありません。
安全に仕事を終え、無事に帰ってくること。
それが、何より大切なことだと思います。
この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
▼ 根拠を持って運賃協議をしたい運送会社様へ
「自社の適正運賃が分からない」
「荷主に提示する運賃表を作りたい」
「契約書や取引条件まで一度きちんと整えたい」
そんな運送会社様向けに、自社原価の計算・距離別運賃表・荷主提示用運賃表・運送基本契約書など、運賃協議に必要な「道具一式」を整える支援サービスをご用意しています。
▼ 自分で運賃交渉を進めたい方へ
運賃交渉の考え方や進め方を、書籍にまとめています。
[【トラック新法対応】「お願い」する運賃交渉を、今日で卒業する本。]
書籍読者限定の無料ダウンロード特典
「車両価格推移レポート」「最低賃金推移レポート」「運送基本契約書テンプレート」などを、書籍内の限定フォームからダウンロードできます。
▼その他、運送業の相談はこちら
「巡回指導が不安」
「Gマーク取得について相談したい」
「許認可について相談したい」
▶ 初回相談無料[お問い合わせ]