運送業経営者・運行管理者、そしてドライバーの皆様、本日もお疲れ様です。
7月のドライバー教育では、過労運転の防止と夏の心身の健康管理を取り上げます。
夏場は暑さによって体力を消耗しやすく、夜も寝苦しさから十分な睡眠が取れないことがあります。
トラックドライバーの場合、運転だけでなく、積込みや荷下ろし、荷締めなどの作業もあります。特にユニック車では、クレーン操作や玉掛け作業も伴います。
運転時間だけを見ていれば疲労の程度が分かるわけではありません。
「まだ走れる」「もう少しで帰れる」
そう思っていても、実際には集中力や判断力が低下している可能性があります。
今回は、過労運転の危険性と、それを防ぐための改善基準告示の基本について考えます。
過労運転は気合いで防げるものではない
疲れているときでも、仕事をしている間は何とか体が動くことがあります。
特に経験の長いドライバーほど、自分の体力や運転技術を頼りにしてしまうことがあるかもしれません。
しかし、疲労や睡眠不足は、本人の意思とは関係なく注意力や判断力に影響します。
危険の発見が遅れる。前方の状況に対する反応が鈍くなる。運転中に一瞬意識が途切れる。
こうした状態が重大事故につながる可能性があります。
居眠り運転では、ブレーキ操作や回避行動が十分に行われないまま衝突する危険があります。
事故を起こしてから「疲れていた」と説明しても、失われたものは戻りません。
大切なのは、疲労が限界に達する前に運転を中断し、休養を取ることです。
改善基準告示は何のためにあるのか
運送会社で働くドライバーには、「改善基準告示」という労働時間等の基準があります。
これは、自動車運転者の労働条件の改善を図るため、拘束時間や休息期間、運転時間などを定めたものです。
平成29年の研修テキストにも説明されていますが、2024年4月から改正された基準が適用されています。
現在の主な基準を確認しておきましょう。
| 項目 | 2024年4月以降の主な基準 |
|---|---|
| 1年の拘束時間 | 原則3,300時間以内 |
| 1か月の拘束時間 | 原則284時間以内 |
| 1日の拘束時間 | 原則13時間以内、上限15時間 |
| 休息期間 | 継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない |
| 運転時間 | 2日平均で1日9時間以内、2週間平均で1週44時間以内 |
| 連続運転時間 | 4時間以内。原則休憩となる運転の中断を合計30分以上確保 |
一定の条件を満たす場合には、労使協定による延長や長距離貨物運送などの特例があります。たとえば年間拘束時間は所定の条件下で3,400時間まで延長できますが、通常の運行で自由に使える上限ではありません。
ここで覚えておきたいのは、これらが単なる数字の管理ではないということです。
長時間労働による疲労を防ぎ、安全に運転できる状態を確保するための基準なのです。
拘束時間と労働時間は同じではない
ドライバー教育で確認しておきたいのが、拘束時間の意味です。
拘束時間とは、始業から終業までの時間を指します。
労働時間だけでなく、休憩時間も含まれます。
一方、荷主や配送先の指示を待っていて、必要になればすぐに作業を始めなければならない手待ち時間は、原則として労働時間に該当します。
たとえば、朝7時に出勤し、夜7時に仕事を終えた場合、途中に休憩があっても拘束時間は12時間です。
実際に運転した時間が短かったとしても、荷待ちや荷役によって拘束時間が長くなることがあります。
運転していないから疲れていない、というわけではありません。
特に夏場の荷待ちでは、待機場所の環境によって疲労が蓄積することもあります。
拘束時間と実際の疲労の両方を考える必要があります。
休息期間は「仕事から解放される時間」
休息期間とは、勤務終了後から次の勤務開始までの、業務から解放された時間です。
現在の改善基準告示では、継続11時間以上の休息期間を与えるよう努めることを基本とし、原則として9時間を下回らないこととされています。
ここで考えておきたいのは、休息期間のすべてを睡眠に使えるわけではないということです。
帰宅して食事を取り、入浴し、翌日の準備をする。
そうした時間も必要です。
休息期間が短くなれば、十分な睡眠を確保することが難しくなる場合があります。
その状態で翌日も早朝から乗務すれば、疲労が抜けないまま仕事を続けることになりかね
この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
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