運送業経営者・運行管理者、そしてドライバーの皆様、本日もお疲れ様です。

トラックドライバーの労働時間を考えるとき、運転時間に注目することが多いと思います。

しかし、実際の運送現場では、運転している時間だけで一日の仕事が終わるわけではありません。

荷主の工場で積込みを待つ。

配送先で荷下ろしの順番を待つ。

荷物の準備が遅れ、予定より出発時間が遅くなる。

こうした時間も、運送業の仕事では珍しくありません。

特に夏場は、待機場所の環境によって体力を消耗することもあります。

今回は、荷待ち時間と長時間拘束の問題を、配車や運行管理の立場から考えてみます。

運転時間が短くても拘束時間は長くなる

たとえば、朝7時に出勤したドライバーが、午前中に荷物を積みに行ったとします。

ところが、荷物の準備ができておらず、積込み開始まで2時間待つことになりました。

その後、配送先へ向かい、今度は荷下ろしの順番を待つことになったとします。

実際に運転した時間はそれほど長くなくても、出勤から帰庫までの時間は長くなっていきます。

このような場合、運転時間だけを確認していては、ドライバーの勤務実態を把握できません。

改善基準告示では、運転時間だけでなく拘束時間にも基準が設けられています。

運転していない時間も含めて、一日の仕事全体を管理する必要があるのです。

荷待ち時間は休憩時間とは限らない

荷待ち時間について、特に注意したいことがあります。

それは、トラックを停車させている時間が、そのまま休憩時間になるわけではないということです。

たとえば、荷主から「準備ができたら呼ぶので待っていてください」と言われた場合です。

いつ呼ばれるか分からず、指示があればすぐに作業を始めなければならないのであれば、自由に利用できる休憩時間とはいえません。

こうした手待ち時間は、原則として労働時間に該当します。

一方、業務から離れて自由に利用できることが保障されている時間は、休憩時間として扱われます。

同じようにトラックを停車させていても、実際の状況によって時間の性質が異なるのです。

「停車していたのだから休めたはず」

そのように考えてしまうと、実際の労働時間や疲労を見誤る可能性があります。

荷待ちが長引くと翌日の仕事にも影響する

荷待ち時間の問題は、その日の帰庫が遅くなることだけではありません。

帰庫が遅くなれば、勤務終了から翌日の始業までの休息期間にも影響します。

たとえば、翌朝の仕事がすでに決まっている場合です。

荷待ちによって帰庫が遅れたにもかかわらず、翌日の始業時間を変更しなければ、必要な休息期間を確保できなくなる可能性があります。

こうしたときには、その日の仕事を終えることだけでなく、翌日の運行まで考える必要があります。

翌日の出勤時間を遅らせる。

別のドライバーへ仕事を振り分ける。

荷主と納品時間を調整する。

配車担当者には、状況に応じた判断が求められます。

夏場の荷待ちは疲労の蓄積にも注意する

夏場の荷待ちは、単に時間を失うだけの問題ではありません。

待機場所によっては、暑さによって体力を消耗することがあります。

車内で待機していても、エアコンの状態や駐車環境によって快適に休めるとは限りません。

また、いつ作業が始まるか分からない状態では、気持ちも落ち着かないことがあります。

長時間待機した後に積込みや荷下ろしを行い、その後さらに運転して帰る。

このような運行では、帰路で疲労が強くなる可能性があります。

特にユニック車の場合、現場でのクレーン作業や玉掛け、荷締めなども伴います。

運転していない時間にも負担があることを、会社側は理解しておく必要があります。

配車担当者は予定どおりに進まないことを前提にする

配車の仕事では、予定を組むことが重要です。

何時に積込み、何時に納品し、何時に帰庫するのか。

それを考えながら車両とドライバーを割り当てていきます。

しかし、実際の運送現場では予定どおりに進まないことも少なくありません。

荷物の準備が遅れる。

現場の作業が長引く。

道路が渋滞する。

急な変更が入る。

こうしたことが重なると、当初の予定から大幅に遅れる場合があります。

私自身、日々配車を行っていますが、すべてを予定どおりに進めることの難しさは感じています。

だからこそ、最初から余裕のない運行計画を組むことには注意が必要です。

少し遅れただけで拘束時間の上限に近づくような配車では、現場での対応が難しくなります。

特に夏場は、休憩や体調管理のための時間も十分に考慮したいところです。

追加の仕事を頼む前に確認すること

配車担当者として判断が難しい場面の一つが、追加の仕事を依頼するときです。

予定していた仕事が早く終わりそうなドライバーがいれば、もう一件お願いしたくなることもあります。

運送会社として、車両を効率よく稼働させたいという考えは当然あります。

しかし、追加の仕事を依頼する際には、その仕事に必要な時間だけを見ていてはいけません。

積込み先までの移動時間、荷待ち時間、荷役時間、配送先までの移動、帰庫時間まで考える必要があります。

また、翌日の始業時間との関係も重要です。

今日の拘束時間が基準内に収まったとしても、翌日の勤務開始までに必要な休息期間を確保できなければ問題になります。

追加の仕事を受ける前に、運行全体を確認することが必要です。

ドライバーからの早めの連絡が重要

配車担当者が適切に判断するためには、ドライバーからの情報も欠かせません。

荷待ちが長引いている。

積込みが予定より遅れている。

配送先で順番待ちになっている。

こうした情報が早めに届けば、会社側も対応を考えることができます。

反対に、帰庫予定時間を大幅に過ぎてから初めて遅れを知った場合、配車変更や納品先への連絡が難しくなります。

ドライバーには、遅れそうなときほど早めに連絡してほしいところです。

また、疲労や眠気を感じている場合には、そのことも伝える必要があります。

「もう少しだから大丈夫」と無理に運転を続けるのではなく、会社と相談しながら安全な対応を取ることが重要です。

荷主との調整も運送会社の仕事

長時間の荷待ちが繰り返されている場合、ドライバーに我慢してもらうだけでは根本的な解決になりません。

荷主や配送先との調整も必要です。

たとえば、積込み時間を事前に確認する。

荷物の準備が整ってから車両を向かわせる。

納品時間の指定を見直してもらう。

こうした調整によって、不要な待機時間を減らせる可能性があります。

そのためには、まず実際にどれくらい荷待ちが発生しているのか把握することが大切です。

運転日報やデジタコの記録などを活用し、荷待ちの発生場所や時間を整理する。

そのうえで荷主へ改善を申し入れる。

感覚的に「待ち時間が長い」と伝えるより、具体的な記録を示した方が問題を共有しやすくなります。

荷待ち時間の削減は、ドライバーの負担軽減だけでなく、運送会社の生産性改善にもつながります。

改善基準告示を守れる仕事の受け方を考える

2024年4月から、トラック運転者の改善基準告示が改正され、拘束時間や休息期間の基準が見直されました。

1か月の拘束時間は原則284時間以内、1日の拘束時間は原則13時間以内で、上限は原則15時間です。

休息期間は継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、原則9時間を下回らないこととされています。

一定の条件下で特例はありますが、日常の配車を考える際には、原則となる基準を守れる運行計画を組むことが基本です。

ここで重要なのは、仕事を受けた後に何とか帳尻を合わせるのではなく、仕事を受ける段階から必要な時間を見積もることです。

運転時間だけでなく、荷待ちや荷役、休憩、帰庫まで含めて考える。

無理がある場合には、荷主との条件調整や受注方法の見直しを検討する。

改善基準告示への対応は、運行管理者だけで完結する問題ではありません。

営業や配車、経営者も含めて取り組む必要があります。

まとめ|長時間拘束を当たり前にしない

トラックドライバーの疲労は、運転時間だけで判断できるものではありません。

荷待ちや荷役によって拘束時間が長くなり、十分な休息期間を確保できなくなることがあります。

特に夏場は、暑さによる体力の消耗にも注意が必要です。

ドライバーは、荷待ちや運行の遅れを早めに会社へ連絡する。

配車担当者は、拘束時間と翌日の休息期間を確認したうえで仕事を割り当てる。

経営者や営業担当者は、長時間の荷待ちを放置せず、荷主との改善交渉に取り組む。

こうした役割分担が、過労運転の防止につながります。

長時間拘束を、運送業だから仕方がないものとして扱わないこと。

それが、ドライバーの健康と会社の安全を守るための第一歩だと思います。

この記事を書いた行政書士

岩本 哲也

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