全国の運送業経営者の皆様、本日もお疲れ様です。
運送会社の心臓部とも言える「配車業務」。日々の目まぐるしい電話と調整の中で、一歩間違えれば荷主の信用を失いかねないギリギリの綱渡りをしている配車担当者も多いはずです。
今回は、私が配車担当として長年仕事をする中で、忘れられない「ヒヤリ・ハット」を3つご紹介します。
どれも重大な事故・損害には至りませんでしたが、「人間の思い込みと確認不足がいかに恐ろしいか」を骨の髄まで痛感した出来事です。配車担当者の教育や、社内のルール作りの参考にしていただければ幸いです。
1. 「日曜の夜2時」の恐ろしい勘違い
ある日、急な依頼の電話で「日曜の夜2時にお願いします。」と言われたことがありました。
私はとっさに「日曜日の夜、26時」と思い込んで配車を組んでいましたが、荷主の実際の意図は「土曜日の夜が明けた、日曜日の午前2時(土曜26時)」でした。 ※業界では深夜帯の時間の捉え方が人によってズレることが多々あります。
この「思い込みによる確認不足」は、一歩間違えれば完全な「積み残し(大穴)」となり、会社の信用を完全に失墜させる致命傷になります。
それ以来、私は時間だけを聞いて分かった気になるのをやめました。 「〇月〇日(曜日)の、深夜〇時ですね。」 というように、必ず「日付・曜日・時間」の3点セットに変換して復唱し、相手と認識をすり合わせることを徹底しています。
2. 「詳細はあとでFAXします」の罠
電話で依頼を受けた際、「詳細はあとでFAX(またはメール)しておきます。」と言われることは日常茶飯事です。
ある時、私は電話で大枠の荷物内容を聞いていたため安心してしまい、送られてきたFAXの細かい部分まで目を通していませんでした。 ところが、いざトラックが配送先へ到着すると、現場で「帰り便の引き取り(回収)がありますよ」と言われました。そこで初めてFAXを確認すると、電話では言われていなかった「引取条件」が小さく書かれていたのです。
現場でドライバーにもお客様にも多大な迷惑を掛け、猛省しました。
現在は電話の内容だけで決して判断せず、FAXやメールなど「文字(書面)で残った内容」を最後まで確認することを徹底しています。
特に現在は「中小受託取引適正化法(取適法)」が本格施行され、運送取引における「書面化」がかつてないほど重要になっています。言った・言わないのトラブルにおいて、「見ていませんでした」「電話で聞いていませんでした」という言い訳は一切通用しない時代です。書面は、お互いの身を守るための絶対的なルールだと認識すべきです。
「書面でのやり取りを徹底することは、配車ミスを防ぐだけでなく、荷主との『適正な運賃交渉』を始めるための強力な武器にもなります。法改正を逆手にとった実務的な交渉術については、こちらで解説しています。」
3. 夜間配送で「連絡先が間違っている」絶望
夜間配送の案件で、トラックが現地へ到着したものの、事前に聞いていた現場担当者の携帯番号が間違っており、全く連絡が取れないことがありました。
深夜ですから荷主の事務所にも電話は繋がらず、ドライバーは現場で立ち往生。大混乱に陥りました。
この恐ろしい経験から、私は夜間や早朝の無人になりやすい現場への配送では、「日中の営業時間内に、ドライバー(または配車係)から現場担当者へ一本電話を入れてもらう」というルールにしました。
「今晩〇〇時頃に配送予定の〇〇運送です。念のためご連絡しました。本日はよろしくお願いいたします。」
このたった1分の一手間で、
- 電話番号が確実に合っているかテストできる
- 相手の担当者にも「今夜トラックが来る」という予定を再認識してもらえる
- 現地の進入経路などの注意事項を事前に聞ける
など、夜間のトラブルを未然に防ぐ確率が劇的に上がります。
まとめ:ミスを防ぐのは「気合」ではなく「仕組み」
配車業務において、トラブルを引き起こすのはダイナミックなミスよりも、こうした「小さな確認不足の積み重ね」であることがほとんどです。
私自身、多くの失敗を経験し、そのたびに「どうすれば次から防げるか」と仕事の進め方(ルール)を見直してきました。 配車担当者に「ミスをするな」「気をつけろ」と精神論で指導しても、忙しくなれば必ずミスは起きます。「復唱の徹底」や「事前連絡のルール化」など、誰がやっても確認漏れが起きない「仕組み」を作ることが経営者や管理者の役割です。
「現場の配車ミスを減らす仕組み作りと同時に、会社全体としての『管理の穴(点呼や帳票類)』も塞いでおく必要があります。巡回指導で慌てないためのセルフチェックツールを無料で配布しています。」
この記事が、全国の配車担当者や運送会社様のトラブル防止に少しでも参考になれば幸いです。
この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
運送業の現場と経営に27年間携わる現役の行政書士。
運送会社で配車・営業・運賃交渉・ドライバー管理・安全管理などに携わりながら、現在は行政書士として運送業を中心に情報発信を行っています。
実際の運送会社経営で経験してきた失敗や課題、現場で起きているリアルな問題を、法律と実務の両面から分かりやすく解説しています。
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