全国の運送会社経営者の皆様、日々の業務、本当にお疲れ様です。
最近はテレビやネットでも「ChatGPT」などのAIの話題を見かける機会が増えました。しかし、 「結局、運送会社で何に使えるの?」 「うちみたいな小さな会社には関係ないでしょ?」 と思われている方も多いのではないでしょうか。
運送業界で長年現場と経営に関わり、現在は行政書士としても活動している私ですが、実は日々の実務の中でChatGPTをゴリゴリ活用しています。
今回は、ITの専門家ではない「運送会社の社長・行政書士」という立場で、私が実際に使って確かな効果を感じた「5つのリアルな活用例」をご紹介します。
1. 労基署対応の「リスクアセスメント」作成補助
私がこれまでで最も助けられたのがこれです。
労基署対応で本当に困った時、何時間も悩んでいた作業が30分程度で形になりました。
労働基準監督署の調査対応などで、突然「リスクアセスメントの整備」が必要になることがあります。
ところが、やったことがない人間にとって、これは本当に大変な作業です。
「危険源を洗い出してください」 「リスクを評価してください」 「低減措置を検討してください」 そう言われても、「そもそも何から、どう書けば良いのか全く分からない」という絶望感に襲われます。
現場の危険自体は頭で分かっていても、それを「お役所が求める文書」に落とし込む経験がないからです。
そこでChatGPTに、以下のように依頼してみました。
「4tトラックによる配送業務のリスクアセスメントを作成したい。作業工程ごとに危険源、想定される災害、低減措置を整理してください。」
すると、わずか数秒で「たたき台として十分使える内容」が箇条書きで出力されました。
もちろん、そのまま提出するのではなく、自社の実態に合わせて手直しをする必要はあります。
しかし、「ゼロ(白紙)からウンウン唸って作る」のと「たたき台を修正する」のとでは、精神的な負担と作業時間が全く違います。
2. 事故報告書・始末書の下書き作成
事故やトラブルが発生すると、その後の報告書作成にどうしても時間を取られます。特に文章作成が苦手な方は、「どう書けば事態が正確に、かつ誠実に伝わるのか」と頭を悩ませるはずです。
私は事故状況を箇条書きで整理し、以下の要素をChatGPTに入力して下書き(たたき台)を作らせることがあります。
- 発生日時
- 発生場所
- 発生状況
- 原因
- 再発防止策
最終確認や微調整は当然社長自身が行いますが、一から文章を組み立てる時間が大幅に短縮され、迅速な対応が可能になります。
3. 安全会議資料の作成(ネタ出し)
毎月義務付けられている安全会議。「今月は何を話そうか……」と、正直ネタに困ることはありませんか?
そんな時、ChatGPTに 「バック事故防止」 「荷締め作業の注意点」 「熱中症対策」 「飲酒運転防止」 といったテーマを入力し、「ドライバー向けに説明する内容や注意点を整理して」と指示を出します。すると、要点がまとまった分かりやすい構成案を出してくれます。毎月の資料作成のマンネリ化防止と、準備時間の短縮に大いに役立っています。
4. 契約書のチェックポイント整理
荷主から新しい「運送基本契約書」を受け取った際、「文字ばかりで、どこに注意すればいいのか分からない」というケースがあります。 私は契約書を確認する際の「補助ツール」としてもChatGPTを使います。
例えば、契約書のテキストを読み込ませて「運送会社側に不利になりそうな条項を抽出してください」と依頼すると、
- 損害賠償条項の偏り
- 責任範囲の曖昧さ
- 支払条件の不備
- 契約解除条項のリスク
などの確認ポイントを瞬時に整理してくれます。最終的な法的判断は当然我々のような専門家が行うべきですが、「まずはどこを警戒して読むべきか」という事前のアタリをつけるには十分すぎるほど役立ちます。
5. ブログ記事や社内文書の作成補助
私は日頃から情報発信のためにブログ運営を行っていますが、記事の構成整理やアイデア出しにもAIを活用しています。
ブログだけでなく、
- 従業員向けの社内通知
- 業務マニュアル
- 取引先への案内文
などの一般的なビジネス文書の作成にも非常に便利です。これもやはり、「白紙の状態から書き始める」という最もエネルギーを使う作業をAIに代行してもらうことで、圧倒的に仕事が楽になります。
まとめ:AIは「答え」ではなく「たたき台」を作る道具
実際にChatGPTを使っていて強く感じるのは、「AIは万能の神様ではない」ということです。
平気で間違った情報を出すこともありますし、出てきた文章をそのまま鵜呑みにしてハンコを押すのは極めて危険です。
しかし、「文章作成」「情報整理」「アイデア出し」「書類作成の補助」という分野においては、尋常ではないほど優秀です。 特に中小運送会社の経営者は、事務員を何人も雇えるわけではなく、社長自身がプレイングマネージャーとして膨大な業務を抱えているケースがほとんどでしょう。
そんな中でAIは、「社長の代わりになる存在」ではありません。しかし、文句一つ言わずに一瞬でたたき台を作ってくれる「社長の優秀な右腕(アシスタント)」として、間違いなく活躍してくれます。
私自身、最初は半信半疑でした。しかし今では、あの「何を書けばいいのか分からない」という絶望感から解放されただけでも、導入した価値があったと断言できます。
もしまだ使ったことがないのであれば、食わず嫌いをせずに、ぜひ一度「自社の事務員」だと思って試してみてください。
この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
運送業の現場と経営に27年間携わる現役の行政書士。
運送会社で配車・営業・運賃交渉・ドライバー管理・安全管理などに携わりながら、現在は行政書士として運送業を中心に情報発信を行っています。
実際の運送会社経営で経験してきた失敗や課題、現場で起きているリアルな問題を、法律と実務の両面から分かりやすく解説しています。
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