運送会社の経営者の皆様、本日も安全運行、本当にお疲れ様です。
毎日朝から晩までハンドルを握り、電話の対応に追われ、配車を組み、資金繰りに頭を悩ませる。そんな日々の中で、ふと通帳を見てこう思うことはありませんか?
「これだけ必死に走っているのに、なぜ手元にお金が残らないんだろう……」
その漠然とした不安、実は正しい感覚です。
あなたがサボっているからでも、経営能力が低いからでもありません。私たちの業界を取り巻くコストの構造が、かつてないほど激変しているからなのです 。
今回は、私の著書『【トラック新法対応】「お願い」する運賃交渉を、今日で卒業する本。』の第1章に基づき、利益を削り取っている「現実」を直視することから始めましょう。
1. 20年前の感覚は通用しない「車両価格の高騰」
トラックの価格は、この20年間、一貫して上昇を続けています 。
特に2021年以降の上昇は凄まじく、新車一台を導入するための設備投資額は、もはや「昔の感覚」では到底太刀打ちできないレベルに達しています 。しかも、むかつくことにディーラーの修理費用、車検費用のかなり高騰しています。
車両価格が上がるということは、単に「買う時が高い」だけではありません。
- 毎年の減価償却費という「固定費」が確実に増加します 。
- 部品代の高騰により、修理代や車検費用も連動して上がります。
「昔はこのくらいの運賃でトラックが買えた」という感覚のままでは、将来の入れ替え費用すら捻出できなくなってしまうのです。
2. 予測不能な「燃料費」と「タイヤ代」の波
軽油価格は国際情勢に翻弄され続け、高止まりが「日常」となってしまいました 。
暫定税率が撤廃され下がりましたがまだまだ高値ですし、世界情勢の影響で再び高騰する可能性はいつでも起こりえます。2026年3月現在、アメリカのイラン攻撃により信じられないくらい高騰しています。
また、安全運行に欠かせないタイヤ代も、明確な上昇トレンドにあります 。
これらは「変動費」であり、走れば走るほど、あなたの会社の利益を確実に、そして冷酷に削り取っていきます 8。
3. 社会保険料という「見えにくい巨大コスト」
多くの経営者が「社会保険料が年々重くなっている」と肌で感じているはずです 。
ニュースでは「厚生年金保険料率は固定されている」と言われますが、なぜ負担が増え続けるのでしょうか 。
その理由は、健康保険料率の引き上げや、賃上げに伴う「標準報酬月額」の上昇にあります 。
例えば、月給30万円のドライバー一人にかかる、会社負担の社会保険料を計算してみましょう。
300,000 円×15% (会社負担分概算) = 45,000円/月
毎月、給与以外にこれだけの「目に見えないコスト」が一人ずつにかかっているのです 。賞与を出す際も同様です 。
この現実を原価に正しく算入できているでしょうか。
「勘」をアップデートする時が来た
私たちの業界を襲っているのは、一時的な不況ではありません。「構造的なコスト上昇」です 。
「昔はこの運賃で利益が出ていたから」という過去の経験に基づく感覚は、もはや通用しません。今回の記事で様々な経費が高騰しているのは理解できたでしょう、しかし運賃はふざけてるの?って思うくらいゆるやかな横ばいではないでしょうか?
今こそ、その素晴らしい「経営の勘」を、最新の数字に基づく「確かな武器」にアップデートする必要があります 。
あなたが一生懸命走って得た利益を、もう「見えないコスト」に奪わせないために。
まずは、自社の数字を直視することから始めてみませんか。
この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
運送業の現場と経営に現時点で27年間携わる現役の行政書士。
運送会社で配車・営業・運賃交渉に関わってきている経験をもとに、
運送業のリアルな課題や裏話を法律と現場の両面から解説しています。
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