運送業の経営者の皆様、本日もお疲れ様です。
配車業務をしていると、「今日のこの現場は、念のためツーマン(2人体制)で行かせた方がいいな」と判断することがありますよね。
- 現場への進入路が極端に狭い
- 到着が夕方になり、暗くて見えにくそう
- バック誘導があった方が絶対に安全だ
こういった現場では、一人で行かせるより二人で行かせた方が安全だろう。そう考えるのは、配車担当としてごく自然なことです。
しかし、私はこれまで配車を15年以上してきてますが、ツーマン配送について一つ気付いたことがあります。
それは、**「安全のためにツーマンにしたはずの配送の方が、なぜか接触事故やヒヤリハットが多い」**という事実です。
1. なぜ事故が起きるのか?「他人任せ2倍の法則」
最初は「たまたま重なっただけだろう」と思っていました。 しかし、事故報告書を分析していくと、原因は非常にシンプルで、ある共通する心理が働いていたのです。
それは、**「他人任せ」**です。
二人で現場に行くと、どうしてもお互いの心の中にこんな心理が生まれます。
- 運転手:「誘導が見てくれているだろうから大丈夫」
- 誘導役:「危なかったら言えば止まるだろう」
私はこれを、**「他人任せ2倍の法則」**と呼んでいます。 二人になると「安心感」は2倍になりますが、その分、一人ひとりの「注意力」は半分以下に下がってしまう。結果として、一人でピリピリしながらバックする時よりも事故のリスクが跳ね上がるのです。
2. 実際に起きた「ツーマン配送」の事故パターン
実際に、私の会社でこんな事故がありました。
ある現場にツーマンで向かい、一人が運転、もう一人がバック誘導をしていました。本来であれば最も安全性が高い状態です。 しかし結果は、バック中に近隣住宅のポストへ接触し、破損。
事故後、二人に事情を聴取すると、見事に先ほどの「法則」が当てはまりました。
- 運転していたドライバー:「逆光で見えにくかったが、誘導がいるから下がった」
- 誘導していたドライバー:「ストップと言ったのに、止まらなかった」
どちらの言い分も、完全に間違っているわけではありません。しかし、結果として「お互いが少しずつ油断していた」のです。これがツーマン配送における典型的な事故パターンです。
3. ガードマン誘導事故も「同じ構造」である
実はこの構造、ツーマン配送だけではありません。得意先から送られてくる事故報告でもよく目にする**「ガードマン誘導中の接触事故」**も全く同じです。
「現場のガードマンの誘導に従ってバックした結果、壁に接触した」 これも運送業あるあるです。
そして非常に理不尽なことですが、ガードマンの誘導に従って起きた事故であっても、最終的な責任を取らされるのは「運転手」と「運送会社」です。ガードマンや施設側が修理代を全額払ってくれることは、まずありません。
ガードマンがいようが、ツーマンであろうが、**「最終責任はドライバーにある」。**この冷酷な現実は変わらないのです。
4. 対策はシンプル。「見えない時は必ず止まる」
では、この「他人任せ2倍の法則」を防ぐにはどうすればいいのか。 結局のところ、対策はとてもシンプルで、基本に立ち返るしかありません。
- 誘導係は、ジェスチャーと声で「はっきり」と指示を出す
- 運転手は、窓を開けて誘導の声をしっかり聞く
- お互いの意思疎通(コミュニケーション)をサボらない
- 【最重要】運転手は、誘導されていても「見えない時は必ず止まる」
事故は例外なく、この「当たり前の基本」が崩れた時に起きます。
まとめ:ツーマンだからこそ、注意力を高めさせる
経営者の皆様には釈迦に説法かもしれませんが、ツーマン配送は「安全対策」として行うものです。 しかし、現場のドライバーには「二人いるから安心」という油断が必ず生まれます。
「ツーマンだから安心なのではない。責任が分散するツーマンだからこそ、より注意力を高めろ」
この意識を日々の点呼でドライバーに直接伝え、クギを刺すことも、私たち経営者や運行管理者の大切な仕事です。次にツーマン配送を指示する際は、ぜひこの「他人任せ2倍の法則」をドライバーに思い出させてあげてください。
「事故が減らない」「安全教育に悩んでいる」経営者様へ
「ドライバーに何度言っても、同じような接触事故を繰り返す」 「効果的な安全教育のやり方や、指導記録の残し方が分からない」
そんな時は、自らも配車デスクに座り、事故の現場へ駆けつけてきた現役行政書士にご相談ください。
この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
運送業の現場と経営に現時点で27年間携わる現役の行政書士。
運送会社で配車・営業・運賃交渉に関わってきている経験をもとに、
運送業のリアルな課題や裏話を法律と現場の両面から解説しています。
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