運送業の経営者の皆様、本日も現場の最前線での指揮、本当にお疲れ様です。
「荷待ち2時間は当たり前、積み降ろしも手伝って当然。でも、もらえるのは運賃だけ……」
そんな時代は、法律によって明確に終わりました。
かつては「慣習」で片付けられてきた付帯業務ですが、2026年(令和8年)現在、これらを契約書に明記し、別建てで料金を受け取ることは、運送会社の「権利」であると同時に、荷主を含めた**「法的な義務」**となっています。
今回は、荷主に「込み込み運賃はもう無理です」と言える法律上の根拠を整理します。
1. 最大の根拠:改正貨物自動車運送事業法「第12条」
2025年から強化された**「書面交付義務(法第12条)」**。これが私たちの最大の武器です。
この法律は、運送契約を結ぶ際、以下の内容を記載した書面を交付することを義務付けています。
- 運賃(走行に対する対価)
- 料金(待機時間、荷役、その他の付帯業務に対する対価)
つまり、「走行」と「それ以外」を分けて記載しないこと自体が、法第12条違反となります。荷主に対し、「法律で『分けて書け』と決まったので、今までのように込み込みにはできません」と伝える正当な理由ができたのです。
2. 国が示した「標準的な運賃」の構造
国土交通省が告示した「標準的な運賃」においても、その計算構造は明確に分離されています。
荷主への総請求額 = 運賃(距離・時間) + 料金(積込・取卸・待機等)
国は「運賃」の中に、荷待ちや荷役のコストは含まれていないと断言しています。
これらを無料でやらせることは、国が定めた適正な取引ルールを無視し、ドライバーにタダ働きを強いていることに他なりません。
3. 「役務以外の対価」を別建てにする3つのメリット
契約書(または覚書)でこれらを明文化することには、単なる増収以上の意味があります。
- 「残業代」の原資になる: 荷役や待機にかかる人件費を「料金」として回収することで、ドライバーへの正当な残業代支払いが可能になります。
- 現場の改善を促す: 「1時間待たせれば$$X$$円の料金が発生する」と契約書に書かれることで、荷主側も本気で荷待ち時間の削減に取り組むようになります。
- 巡回指導・監査対策: 書面化義務を果たしていることは、コンプライアンスを遵守している証明になり、行政処分リスクを大幅に下げます。
まとめ:「当たり前」を契約書で上書きする
「昔からサービスでやってきたから」という言葉に、もう怯える必要はありません。
法律(法第12条)と、国の基準(標準的な運賃)が、あなたの背中を押しています。
「付帯業務の有料化」は、もはや交渉事ではなく、法令遵守のための「手続き」です。
まずは、「何が運賃で、何が料金か」を整理した新しい契約書案を、荷主に提示することから始めましょう。
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この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
運送業の現場と経営に現時点で27年間携わる現役の行政書士。
運送会社で配車・営業・運賃交渉に関わってきている経験をもとに、
運送業のリアルな課題や裏話を法律と現場の両面から解説しています。
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