運送会社の経営者の皆様、本日もお疲れ様です。
運送会社を経営していると、本当に営業電話が多いですよね。
保険、タイヤ、人材紹介、ドライブレコーダー、ホームページ制作…。
そして近年、特に増えたと感じるのが、
「会社を売りませんか?」「業務提携のお話があります。」「御社を買いたいという企業があります」というM&Aの営業電話です。
私自身、行政書士になれば営業電話が多いと聞いていましたが、運送会社にかかってくる営業電話に比べれば、本当にかわいいものだと感じています。
今は売却を考えていなくても、後継者不足やご自身の年齢、2024年問題以降の厳しい経営環境を考えると、「いつかは事業承継やM&Aも選択肢かもしれない」と考える経営者の方も増えてきました。
しかし、運送会社は「緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業許可)」があるからこそ事業が成り立ちます。一般企業と同じ感覚で売却を進めると、大きな落とし穴があります。
今回は、運送会社を売却する前に知っておきたい3つのポイントを解説します。
1. 「株式譲渡」と「事業譲渡」では許可の扱いが全く違う
運送会社のM&Aで最も多いのは「株式譲渡」です。
会社そのものが存続し、株主だけが変わるため、一般貨物自動車運送事業許可も原則そのまま引き継がれます(役員変更等の届出は必要です)。
一方、「事業譲渡」は話が全く違います。
運送事業だけを譲り渡す場合は、当事者同士で契約を結べば終わりではありません。
運輸局の「譲渡譲受認可」が必要になります。
認可まで数か月かかることも珍しくなく、予定どおり引き継げないケースもあります。
売却の話が出た段階で、どの手法を採るのかを慎重に検討することが重要です。
2. 買い手は利益以上に「法令遵守」を見ている
会社を売却すると聞くと、
「いくらで売れるのか」
ばかり気になります。
しかし、買い手企業が本当に確認しているのは、将来リスクです。
例えば、
- 行政処分歴
- 巡回指導の結果
- 点呼や日報の管理状況
- 未払い残業代
- 車庫や営業所の適法性
などは必ず確認されます。
決算書が良くても、こうしたコンプライアンスに問題があれば企業価値は下がります。
コンプライアンス上の問題が企業価値を下げることは珍しくありません。
「昔からこうやっているから大丈夫。」
この考え方が、将来の会社の価値を大きく下げてしまう可能性があります。
3. M&A営業電話が来ても焦って面談しない
最近は運送会社向けのM&A営業電話が非常に増えています。
しかし、営業担当者のペースで話を進める必要はありません。
まず整理すべきなのは、
- 本当に売却する意思があるのか
- 今が売却のタイミングなのか
- 親族や社員への承継は本当に難しいのか
- 廃業と比較してどちらが会社にとって良いのか
という点です。
M&Aはあくまでも選択肢の一つです。
気軽に対応してしまうと、どんどん流れに飲み込まれてしまって後戻りできなくなり、安く買いたたかれてします可能性があります。
まとめ|会社の価値は毎日の積み重ねで決まる
M&Aというと、売却価格ばかりが注目されます。
しかし実際には、
毎日の点呼。
日報。
巡回指導への対応。
運行管理。
適正な許認可管理。
こうした当たり前の積み重ねが、そのまま会社の価値になります。
逆に、「これくらい大丈夫」と放置してきた小さな問題が、売却時には大きなマイナス評価になることもあります。
将来的に会社を売却する予定がなくても、日頃から法令を守り、会社を適正に運営することが、結果として最も企業価値を高める近道だと私は考えています。
ただ、大原則として、電話営業の話に絶対に乗ってはだめだってことです。自分で調べて行動することが大事です。
「買い手企業から調査が入った際、最も厳しく見られるのが日々の帳票管理です。自社の管理体制に『どんな穴があるのか』、まずは買い手に見られる前にこちらの無料ツールで自己診断してみてください。」
この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
運送業の現場と経営に27年間携わる現役の行政書士。
運送会社で配車・営業・運賃交渉・ドライバー管理・安全管理などに携わりながら、現在は行政書士として運送業を中心に情報発信を行っています。
実際の運送会社経営で経験してきた失敗や課題、現場で起きているリアルな問題を、法律と実務の両面から分かりやすく解説しています。
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