運送業経営者・運行管理者、そしてドライバーの皆様、本日もお疲れ様です。
トラックの事故というと、追突や接触、巻き込み事故を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、平ボディトラックやユニック車を扱う運送会社では、もう一つ注意しておきたい事故があります。
それが、車両や積荷の高さによる接触事故です。
高架下や歩道橋、工場の出入口、建物のひさしなど、道路や配送先には高さに制限のある場所があります。
車幅や車長は運転中に意識しやすいものですが、車高については見落としてしまうことがあります。
特に、普段と違う荷物を積載したときや、初めて訪問する配送先では注意が必要です。
今回は、平ボディトラックの車高と、配送先への進入判断について考えてみます。
トラックの高さはいつも同じではない
トラックには車両ごとに全高があります。
しかし、平ボディトラックの場合、その数値だけを把握していればよいとは限りません。
荷台に背の高い機械や建設資材を積載すると、積荷の上端が車両本体より高くなることがあります。
また、ユニック車ではクレーン装置の格納状態にも注意が必要です。
積荷や装置の状態によって、運行時の最高部が変わる可能性があります。
そのため、高さ制限のある場所を通行するときには、実際に運行する状態での高さを確認しなければなりません。
「このトラックの高さは分かっている」
そう思っていても、今日積んでいる荷物まで含めた高さを把握できていなければ、安全な通行判断はできません。
荷物を降ろした後にも注意が必要
車高に関して意外と見落としやすいのが、積載時と空車時の違いです。
トラックは荷物を積むと、重量によってサスペンションが沈み、車体の高さが変化することがあります。
逆に、荷物を降ろすと車体が上がる場合があります。
つまり、荷物を積んだ状態で通れた場所でも、荷物を降ろした後には同じように通れない可能性があるということです。
配送先へ進入できたからといって、退出時も必ず安全とは限りません。
特に高さに余裕の少ない場所では、積載状態による車体の変化まで考慮する必要があります。
進入時だけでなく、退出時の経路についても確認しておきたいところです。
工場や倉庫のひさしにも危険がある
高さ制限というと、高架下やガードを思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、実際の配送現場では、工場や倉庫の出入口にも注意が必要です。
たとえば、建物のひさしや屋根、看板、配管などがトラックの進入経路に張り出していることがあります。
地上付近には十分なスペースがあっても、上部には障害物がある場合があります。
また、敷地内に入った後、車両の向きを変える際に、積荷やクレーン装置が建物に接近することも考えられます。
運転席からは車両の上部が直接確認しにくいため、距離感を誤る可能性があります。
こうした場所では、車両を停止して高さを確認することが必要です。
通れるかどうか分からないまま進入することは避けなければなりません。
初めての配送先では事前確認が重要
配車担当者として仕事をしていると、初めて訪問する配送先を指定されることがあります。
住所だけを受け取り、実際の道路状況や進入経路までは分からないこともあります。
しかし、トラックの場合、住所が分かれば必ず到着できるわけではありません。
目的地までの道路に高さ制限があるかもしれません。
配送先の入口が狭く、大型車では進入できないかもしれません。
構内に入ることはできても、荷下ろし場所まで移動できない可能性もあります。
特に大型の平ボディトラックやユニック車では、こうした問題を事前に確認しておくことが重要です。
荷主や納品先へ車両の大きさを伝え、進入可能か確認する。
必要であれば別の経路を検討する。
こうした準備が、現場での無理な運転を防ぎます。
カーナビの案内をそのまま信用しない
初めての配送先へ向かう際、カーナビを利用するドライバーは多いと思います。
目的地までの経路を確認するうえで便利な道具ですが、案内された道路が必ずしも自分のトラックに適しているとは限りません。
車両の高さや幅、重量などが考慮されていない経路を案内される可能性もあります。
また、大型車に対応したナビであっても、道路状況や規制情報が常に完全とは限りません。
そのため、カーナビの案内だけで通行可能と判断することは避けるべきです。
道路標識や現地の状況を確認し、自分の車両が安全に通行できるか判断する必要があります。
特に高さ制限のある場所では、標識の数値と実際の車両・積荷の高さを照らし合わせることが重要です。
通行できるか分からない場合には、安全な場所で停止し、会社へ確認することも必要になります。
「ここまで来たから進む」が危ない
狭い道路や高さ制限のある場所で、ドライバーが判断に迷うことがあります。
「もう少し進めば配送先に着く」
「ここまで来たのだから、何とか通りたい」
こうした気持ちは理解できます。
しかし、進入できるか分からない場所で無理に前進すると、後戻りできなくなる可能性があります。
大型トラックでは、狭い道路での方向転換や後退も簡単ではありません。
前方に進めなくなった結果、危険なバック操作をしなければならなくなることもあります。
重要なのは、進入する前に判断することです。
安全に通行できるか分からない場合には、無理に進まない。
会社や納品先へ連絡し、別の進入方法を検討する。
配送時間が多少遅れても、事故を起こすよりはるかによい判断です。
配車担当者にも責任がある
車高や車幅に関する事故は、ドライバーの確認不足だけで発生するとは限りません。
そもそも、配送先に適さない車両を手配していた可能性もあります。
たとえば、進入路に高さ制限があることを把握していながら、車高の高い車両を手配してしまう。
大型車が進入できない配送先に、事前確認をせず大型トラックを向かわせてしまう。
こうした場合、現場でドライバーが困ることになります。
配車担当者は、荷物の重量や大きさだけでなく、配送先の条件も考慮する必要があります。
車両の全長、全幅、全高を把握しておくことはもちろん、積荷を含めた高さにも注意が必要です。
また、過去に進入が難しかった配送先については、情報を残しておくことも有効です。
「この配送先は大型車での進入が難しい」
「この入口には高さ制限がある」
こうした情報を社内で共有すれば、別のドライバーが同じ問題に直面することを防げます。
会社として車両寸法を管理する
複数のトラックを保有する運送会社では、車両ごとの寸法を一覧にしておくことをおすすめします。
全長、全幅、全高、最大積載量などをまとめておけば、配車時の確認にも役立ちます。
さらに、平ボディトラックやユニック車では、積荷や装置によって運行時の高さが変わることをドライバーに周知する必要があります。
車両の寸法を把握することは、単なる事務管理ではありません。
安全な経路を選び、適切な車両を手配するための基本情報です。
事故が発生してから車両の高さを調べるのではなく、普段から確認できる状態にしておくことが大切です。
まとめ|通れるか分からない場所には進入しない
トラックの車高に関する事故は、運転技術だけでは防げません。
車両本体の高さ、積荷の高さ、クレーン装置の状態、道路や配送先の高さ制限など、複数の条件を確認する必要があります。
特に平ボディトラックでは、運ぶ荷物によって運行時の高さが変わることがあります。
普段通れている道路でも、今日の荷物を積んだ状態では通れない可能性があります。
また、配送先への進入判断はドライバーだけの問題ではありません。
配車担当者や運行管理者が事前に道路状況を把握し、適切な車両と経路を選ぶことも重要です。
「この高さなら通れるだろう」
そう思ったときこそ、一度確認する。
通れるか分からない場所には無理に進入しない。
こうした基本的な判断が、車両や積荷の損傷、建物への接触事故を防ぐことにつながります。