全国の運送業経営者・運行管理者の皆様、本日もお疲れ様です。
トラックの荷台で行う荷役作業。毎日のことだからこそ、現場でこんな光景が当たり前になっていないでしょうか。
- 荷台に上がるとき、タイヤやアオリによじ登っている
- 荷台の上なのにヘルメットをかぶっていない
- パワーゲートの操作を、教育を受けていない新人に任せている
私自身、27年間運送業界にいますが、昔はここまで厳しく言われませんでした。
しかし、荷台からの転落・墜落事故は「いつもの積み降ろし」の中で起きています。
2026年現在、運送会社が絶対に押さえておくべき法的ルールは次の3点です。
- 昇降設備(2t以上)
- 保護帽・ヘルメット(2t以上の一部・5t以上)
- テールゲートリフター特別教育
法律の基準だけでなく、「現場でどう使わせるか」まで要点を絞って解説します。
1. 最大積載量2トン以上は「昇降設備」が必要
2023年10月の法改正により、昇降設備の設置義務は従来の「5トン以上」から「最大積載量2トン以上」の全車両へ拡大されています。
大型車だけでなく、2t・3t・4t車を扱うすべての中小運送会社が対象です。
- 使える設備: 車両ステップ、引っ掛け式のハシゴ、踏み台など
- 現場の注意点: 「手すり(グリップ)」を使って、両手・片足(または両足・片手)で支える三点支持が推奨されています。
せっかくハシゴを買っても、荷台の奥に放り込んだままでは意味がありません。「荷台へ上がる時は必ず使う」ところまで習慣化させることが重要です。
2. ヘルメットは「2トン以上なら全員義務」ではない
ここは現場で一番勘違いされやすいポイントです。
「2t以上ならどんなトラックでもヘルメット着用義務」ではありません。正しくは以下の通りです。
| 車両の条件 | ヘルメット着用の義務 |
| 5トン以上 | すべての車両で着用義務 |
| 2トン以上〜5トン未満 | 平ボディ、ウイング車、ゲート車など(荷台側面が開く車両)は義務 ※ゲートなしの一般的なバン型車(箱車)は対象外となる場合あり |
また、ヘルメットなら何でもいいわけではありません。
「墜落時保護用」の型式検定に合格した標章付きのものを使い、あご紐を確実に締めさせる必要があります。
3. パワーゲート操作は「特別教育」が必須
テールゲートリフター(パワーゲート)を使った荷役作業の操作は、「学科4時間+実技2時間」の特別教育が完全に義務化されています。
- NGな例: 「前職で使っていた」「スイッチを押すだけだから教えればできる」
- 対象となる操作: 昇降スイッチだけでなく、ゲート板の展開・格納やストッパー操作も含まれます。
無教育のドライバーに操作させると労働安全衛生法違反となり、是正勧告や罰則の対象になります。
4. 特別教育の記録は「3年間保存」
特別教育を受けさせたら、会社側で必ずやるべきことがあります。
- 受講記録簿の作成: 受講者氏名、受講日、科目などを記録する
- 保存期間: 3年間保存が法定義務
「全員受けさせたはず」という口頭の記憶だけでは、巡回指導や労基署の調査をパスできません。一覧表(Excel等)を作り、修了証のコピーと一緒に保管しておきましょう。
5. アオリ作業の「声かけ」を省略しない
荷台作業で最も事故が起きやすいのが平ボディ車のアオリ(あおり)です。
私の会社でも、一人が無言であおりを解除し、もう一人がそれに気づかず足を掛けて転落しかけたヒヤリハットがありました。
- あおりを足場(ステップ代わり)にしない
- 二人作業では「あおり開けます」「動かします」と必ず声をかける
機械や設備を入れること以上に、こうした「声かけの徹底」が一番の安全装置になります。
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二人作業での思い込みを防ぐルールづくりはこちらで解説しています。
6. 今すぐ車庫で確認したい「5つの点検項目」
まずは自社の車庫を見回して、次の5点だけチェックしてみてください。
- 2t以上のトラックに、すぐ取り出せる昇降ステップ・ハシゴがあるか
- 平ボディ・ウイング・ゲート車のドライバーにヘルメットを渡しているか
- ヘルメットは「墜落時保護用」で、あご紐に劣化がないか
- パワーゲートを扱うドライバー全員が「特別教育」を修了しているか
- 特別教育の記録(修了証の写し等)がファイルに保管されているか
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まとめ
2026年現在、荷台安全の3大ルール(昇降設備・保護帽・特別教育)は、運送会社にとって「当たり前にできていなければならない基準」です。
設備を揃えても、ドライバーが面倒がって使わなければ事故は防げません。
- 道具を手の届く場所に置く
- あおりからの飛び降りを禁止する
- 危ない作業を見かけたら注意し合える空気を作る
形だけのコンプライアンスで終わらせず、ドライバーが無事に家族のもとへ帰れる現場体制を作っていきましょう。
本日もご安全に。
この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
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