運送業の経営者の皆様、本日もお疲れ様です。 毎月送られてくる整備工場やタイヤ屋からの請求書を見て、「またタイヤ代か……」と頭を抱えていませんか?

燃料費に次いで会社の利益を圧迫するタイヤ代。そのコストダウンの切り札として、**「再生タイヤ(リトレッドタイヤ)」「中古スタッドレスタイヤ」**の導入を検討される経営者様は少なくありません。

しかし、単に「安いから」という理由で飛びつくと、後で取り返しのつかない大火傷を負うことになります。 今回は、現場で数多くの車両を見てきた経験から、これらのタイヤのメリット・デメリットと、「維持費を適正に下げる賢い使い方」を解説します。


1. 再生タイヤ(リトレッドタイヤ)のリアル

すり減ったタイヤの表面(トレッドゴム)だけを新しく貼り替えた再生タイヤ。新品の約半額〜6割程度のコストで導入できるため、非常に魅力的です。

【メリット】

  • 圧倒的な初期コストの削減
  • 廃タイヤを減らせるため、環境配慮(SDGs)を重んじる一部の大手荷主へのアピール材料になる。

【デメリットと絶対のルール】

  • フロントタイヤ(操舵輪)への装着は「絶対NG」 再生タイヤは、新品に比べて熱を持ちやすく、バースト(破裂)やトレッドの剥離リスクがゼロではありません。万が一、フロントタイヤがバーストすれば、即座にコントロールを失い大事故に直結します。**「再生タイヤは後輪(駆動輪・トレーラーの車軸)のみに使用する」**というのは、経営者がドライバーに徹底すべき鉄則です。
  • 寿命は新品より短い ベースとなるタイヤ(台タイヤ)の骨格自体は古いままなので、新品ほどの耐久性はありません。

💡 賢い使い方 ストップ&ゴーが多く、タイヤをこすりやすい「地場配送」の後輪には最適です。逆に、高速道路を長距離走り続けるような運行には、熱による剥離リスクを考慮して避けるのが無難です。

2. 中古スタッドレスタイヤの罠

「雪なんて年に数回しか降らないから、中古のスタッドレスで十分だろ」 非降雪地域の運送会社でよくある考え方です。確かに初期費用は抑えられますが、ここには大きな落とし穴があります。

【メリット】

  • とにかく安い(ホイールセットでも格安で手に入る場合がある)
  • 万が一の突然の降雪に対する「とりあえずの保険」になる。

【デメリットと絶対のルール】

  • 「溝の深さ」より「ゴムの硬さ(年式)」が命 スタッドレスタイヤは、ゴムが柔らかいからこそ氷に密着して滑りを防ぎます。中古タイヤで「溝が8割残っている」と喜んでも、製造から5年以上経過してプラスチックのようにカチカチに硬化したゴムでは、氷の上では全く止まりません。
  • 保管状態によって品質がバラバラ 前の持ち主が野ざらしで保管していた場合、劣化はさらに進んでいます。

💡 賢い使い方 購入する際は、必ずタイヤの側面に刻印されている**「製造年週」**を確認してください。いくら溝があっても、古いものは絶対に避けること。そして、東北や北海道などの「本格的な雪国・凍結路」に向かう車両には、絶対に中古を履かせてはいけません。あくまで「非降雪地域の念のための備え」と割り切るべきです。

3. 維持費の正しい考え方:「1kmあたりのコスト」

経営者として一番やってはいけないのは、「購入時の金額」だけでタイヤを選ぶことです。

  • A:1本4万円の新品タイヤ(寿命10万km)= 0.4円/km
  • B:1本2.5万円の再生タイヤ(寿命5万km)= 0.5円/km

このように、「購入額は安いが、寿命が短いので1kmあたりのコスト(原価)は高くつく」という逆転現象は頻繁に起こります。さらに、タイヤ交換の頻度が増えれば、その分の「工賃」と「トラックが稼働できない時間(ダウンタイム)」という見えないコストも上乗せされます。

タイヤはただのゴムの塊ではなく、「会社の原価そのもの」です。


まとめ:安いタイヤで「事故という最悪の負債」を買わない

再生タイヤも中古スタッドレスも、特性を理解して適材適所で使えば、素晴らしいコストダウンの武器になります。 しかし、安全性を犠牲にしてまで削った数万円のコストは、万が一の事故の際、数千万円の損害賠償と行政処分となって会社に跳ね返ってきます。

「どこまで削って、どこは新品のまま守るのか。」 この明確な基準(ルール)を社内で作ることこそが、本当の「維持費の管理」です。

理想は運賃交渉しタイヤ価格もしっかり上乗せ請求できることです。

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「自社の適正な原価が分からない」経営者様へ。

「タイヤ代や修繕費が経営を圧迫しているが、どこから手をつけていいか分からない」 「自社の1kmあたりの適正原価を出し、荷主との運賃交渉に使いたい」 もしそう思っているなら下記の著書を一読してください。

この記事を書いた行政書士

岩本 哲也

運送業の現場と経営に27年間携わる現役の行政書士。
トラック運送会社で配車・営業・運賃交渉に関わってきた経験をもとに、
運送業のリアルな課題を法律と現場の両面から解説しています。

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