運送業の経営者の皆様、本日もお疲れ様です。 2026年(令和8年)を迎え、トラック新法(改正貨物自動車運送事業法)の運用はさらに厳格なフェーズに入りました。
日々、皆様からご相談をいただく中で、特に共通して聞かれる「10の質問」をQ&A形式でまとめました。 「知らなかった」では済まされない今の時代、自社のコンプライアンスの再確認にご活用ください。
- Q1. 2026年4月から、具体的に何が変わるのですか?
- Q2. 「白トラ」の定義を改めて教えてください。
- Q3. 荷主が「白トラだと知らなかった」と言えば逃げられますか?
- Q4. 改正法第12条の「書面交付義務」とは何ですか?
- Q5. 多重下請けに制限がかかると聞きましたが?
- Q6. 5年ごとの「事業許可更新制」では何を見られますか?
- Q7. 下請けに依頼する際、新たに作成が義務付けられる「実運送体制管理簿」とは何ですか?
- Q8. 契約書にない「荷待ち」や「荷役」を無償でやらされた場合、どうなりますか?
- Q9. 「トラックGメン」とはどのような組織ですか?
- Q10. 荷主が運賃改定の「協議」にすら応じてくれない場合、法的な対抗策はありますか?
Q1. 2026年4月から、具体的に何が変わるのですか?
A1. 最大のポイントは、違法な「白トラ」に運送を依頼した荷主(依頼主)への罰則新設です。 これまでは運送事業者のみが対象でしたが、改正後は荷主も100万円以下の罰金や社名公表の対象となります。
Q2. 「白トラ」の定義を改めて教えてください。
A2. 営業許可を受けていない「白ナンバー(自家用)」のトラックで、違法に報酬を得て荷物を運ぶ行為を指します。正規の事業者は緑ナンバーを付けていなければなりません。
Q3. 荷主が「白トラだと知らなかった」と言えば逃げられますか?
A3. 通用しません。荷主や元請けには、依頼先が正規の許可業者(緑ナンバー)であるかを確認するプロセスを厳格化する責任が課せられています。
Q4. 改正法第12条の「書面交付義務」とは何ですか?
A4. 運送契約を締結する際、運賃や付帯業務(荷役、待機など)の内容を書面やメール等の電磁的記録で交付する義務です。これを怠ると、事業者だけでなく荷主側も行政指導の対象となります。
Q5. 多重下請けに制限がかかると聞きましたが?
A5. はい。下請けに出す回数(再委託)を原則**2回まで(2次受けまで)**とする努力義務が課されています。これは「中抜き」によるドライバーの報酬低下を防ぐための措置です。
Q6. 5年ごとの「事業許可更新制」では何を見られますか?
A6. 実態のない「名義貸し」や、適正な原価管理ができていない会社、法令遵守が不十分な会社がチェックされます。具体的には、**「連続赤字決算」「低賃金による就労」「過去の行政処分」**などが厳しく問われます。これらをクリアして更新できなければ、事業を継続することはできません。
Q7. 下請けに依頼する際、新たに作成が義務付けられる「実運送体制管理簿」とは何ですか?
A7. 多重下請けによる運賃の「中抜き」や責任の所在の曖昧さを防ぐため、元請け事業者が「最終的に誰(どの会社の誰)が実際に荷物を運んだのか」を正確に把握し、台帳として管理・保存する新たな義務です。これにより、実態のわからない無責任な「丸投げ」が法的に完全に封じられます。
Q8. 契約書にない「荷待ち」や「荷役」を無償でやらされた場合、どうなりますか?
A8. 荷主側の違反行為(荷主勧告の対象)となります。同時に、運送会社側もこれらを「料金」として運賃と分けて書面化(Q4の第12条)しておかないと、双方のコンプライアンス違反として指導を受けるリスクがあります。
Q9. 「トラックGメン」とはどのような組織ですか?
A9. 国土交通省に設置された、悪質な荷主を監視・是正指導するための専門組織です。運送会社からの情報提供(目安箱など)を基に、長時間の荷待ちや不当な運賃据え置きを行っている荷主企業に対して、直接調査や指導に入ります。
Q10. 荷主が運賃改定の「協議」にすら応じてくれない場合、法的な対抗策はありますか?
A10. 改正法および国のガイドラインでは、荷主に対して**「運賃改定の協議に応じる義務」**が明確化されています。話し合いのテーブルに着くことすら拒否する荷主は、トラックGメンへの情報提供の対象として扱う正当な理由になります。
まとめ:法律を「武器」にして会社を守る
トラック新法は、運送会社を縛るためのものではありません。むしろ、正当な運賃を要求し、荷主と共に「持続可能な物流」を築くための最強の盾です。
ストック記事でも触れてきましたが、一つひとつの課題をクリアしていくことが、貴社の利益とドライバーを守る唯一の道です。特に事業許可の5年更新に向けて、「連続赤字」や「低賃金」から脱却する原価管理体制の構築、「運賃交渉」は急務と言えます。
この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
運送会社の経営に携わる、現場経験豊富な現役の行政書士。 法律知識と現場感覚を掛け合わせ、運送業経営者のための実践的なコンサルティングを得意とする。
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