運送業の経営者の皆様、本日もお疲れ様です。

2028年までに導入予定とされている「トラック運送業の5年免許更新制」。

これまで私は、更新制度によって求められる財務要件や、更新審査によって市場から退出を迫られる事業者が出てくる可能性について解説してきました。

しかし、実は経営者自身にとって最も厄介な問題は別にあります。

それが、

「役員法令試験」です。

歴史のある会社だと当時の許可要件にもなっていなく、「なんだそれ?」状態でしょう。

私は運送業界に携わりつつ現在は行政書士として運送会社の許認可業務にも関わっていますが、この制度が本格的に導入された場合、多くの経営者がここで苦労するのではないかと考えています。

なぜなら、この問題だけはコンサルタントや行政書士にお金を払っても代わりに受けてもらうことができないからです。

今回は、先行して導入されている貸切バス業界の制度を参考にしながら、今後予想される役員法令試験の実態と、Gマーク取得の重要性について解説します。


なぜ社長自身が試験を受ける必要があるのか

貸切バス業界では、5年ごとの更新制度の中で「役員法令試験」が実施されています。

この試験の目的は単純です。

国が確認したいのは、

「会社のトップが本当に法令を理解しているか」という一点です。

現場には優秀な運行管理者がいるかもしれません。

長年無事故で営業している会社もあるでしょう。

しかし国の考え方は違います。

最終的な責任者は社長であり、役員である以上、経営者自身が法令を理解していなければならないという考え方です。

つまり、

「運行管理者に任せている」

「顧問に聞けばいい」

という理屈は通用しません。

経営者自身が法令を理解していることが求められるのです。


コンサルや行政書士でも代行できない

許可申請や変更届、巡回指導対策であれば専門家がサポートできます。

事業計画書の作成も支援できます。

しかし、

法令試験だけは本人が受験するしかありません。

試験会場に代理人は行けません。当然ながら替え玉受験など論外です。

もし更新制度が貸切バスと同様の仕組みになるのであれば、

  • 道路運送法
  • 貨物自動車運送事業法
  • 労働基準法
  • 改善基準告示
  • 運行管理関係法令

などから出題される可能性があります。

特に近年は法改正のスピードが非常に速くなっています。

2024年問題への対応だけでも、多くの経営者が苦労したはずです。


本当に怖いのは「勉強」ではない

試験そのものが怖いわけではありません。

本当に怖いのは、

普段から法令を理解していない会社があぶり出されることです。

現在でも巡回指導を受けると、

  • 点呼記録がない
  • 指導監督記録がない
  • 適性診断未実施
  • 健康診断未受診

といったケースは珍しくありません。

こうした会社は、仮に更新制度が始まれば苦戦する可能性があります。

更新制度の本質は、

「法令を守っている会社だけを残す仕組み」だからです。


Gマークの価値は今後さらに高まる

ここで注目したいのがGマークです。

貸切バス業界では、安全性評価認定制度を取得している事業者に対して一定の優遇措置が設けられています。

トラック運送業についても、将来的にGマーク取得事業者への優遇措置が導入される可能性は十分考えられます。

もちろん現時点で、

「Gマークがあれば役員法令試験が免除される」

と決まっているわけではありません。

しかし国の方向性を見る限り、

  • 優良事業者を評価する
  • 安全投資をしている会社を優遇する
  • 法令遵守企業を残す

という流れは明確です。

その意味でGマークは、今後さらに価値が高まる可能性があります。


ただしGマーク取得が先ではない

ここで誤解してはいけません。

私は以前から、

「Gマークは経営に余裕が出てから取り組めばよい」

とお伝えしています。

この考え方は今も変わりません。

なぜなら、

  • 赤字経営
  • 点呼未整備
  • 日報管理がボロボロ

この状態でGマークだけ取得しようとしても意味がないからです。

まず必要なのは、

  • 適正運賃の確保
  • 原価管理
  • 点呼体制の整備
  • 指導監督の実施

といった足元の改善です。


2028年までに準備すべきこと

今からやるべきことはシンプルです。

① 法令遵守を現場に定着させる

巡回指導で指摘されるレベルの事項は早めに改善しましょう。


② 適正運賃を確保する

財務体質が弱い会社は更新制度そのものに対応できなくなる可能性があります。


③ Gマーク取得を中期目標にする

すぐでなくても構いません。

しかし将来的な更新制度を考えると、有力な選択肢の一つになるでしょう。


④ 社長自身が法令を学ぶ

これが最も重要です。

更新制度が始まれば、

最終的に問われるのは社長自身です。


まとめ

5年更新制が導入された場合、

多くの経営者が恐れるのは財務要件かもしれません。

しかし実際には、

経営者自身の法令理解が問われる時代

になる可能性があります。

コンサルタントや行政書士はサポートできます。

しかし試験を受けるのは社長本人です。

だからこそ今から、

  • 法令を学ぶ
  • 管理体制を整える
  • Gマーク取得を視野に入れる

こうした準備を進めていくことが重要です。

2028年はまだ先の話ではありません。

気が付けば、あっという間にやってきます。

更新制度が始まってから慌てるのではなく、今から少しずつ備えていきましょう。

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この記事を書いた行政書士

岩本 哲也

運送業の現場と経営に27年間携わる現役の行政書士。

運送会社で配車・営業・運賃交渉・ドライバー管理・安全管理などに携わりながら、現在は行政書士として運送業を中心に情報発信を行っています。

実際の運送会社経営で経験してきた失敗や課題、現場で起きているリアルな問題を、法律と実務の両面から分かりやすく解説しています。

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