運送業の経営者の皆様、本日も安全運行、本当にお疲れ様です。 最近、同業者の間や荷主の現場で、こんなトラブルを耳にすることが増えていませんか?

「荷降ろし先の構内でトラックからオイルが漏れ、アスファルトの清掃・補修で多額の損害賠償を請求された」

実は今、こうしたオイル漏れによる重大なトラブルが多発しています。 私も以前安全大会で直に聞きましたし、実際オイル漏れを発生させたことあります。清掃が本当に大変でした。

今回は、なぜ今オイル漏れが急増しているのかという「業界の構造的な闇」と、現場と経営の両面から会社を守る対策についてお話しします。


1. なぜ今、オイル漏れが多発しているのか?(根本原因)

ドライバーの質が落ちたから? 整備士が手を抜いているから? いいえ、最大の原因はもっと深刻なところにあります。それは、運送業界全体で「車両の老朽化」が限界まで進んでいるからです。

以前の記事でも触れましたが、トラックの新車価格はここ数年で異常なほどの高騰を見せています。その結果、多くの運送会社が「新車への買い替え」を躊躇し、だましだまし古い車両を乗り続けざるを得ない状況に追い込まれています。

金属部分は長持ちしても、油圧ホースやパッキンなどの「ゴム・樹脂部品」は、経年劣化から逃れることはできません。 買い替えが進まない高齢化したトラックたちが、限界を迎えたホースから突然オイルを吹き出し、現場を汚染している。これが今の運送業界で起きているリアルな連鎖です。

2. 現場でできる「3つの防衛策」

この連鎖から会社を守るためには、まず現場レベルでの「防波堤」を高くする必要があります。

① 日常点検で「トラックの下」を覗き込む

タイヤの空気圧やナットの緩みは確認しても、「車体の下」まで見ているドライバーはどれくらいいるでしょうか? 出発前、必ずトラックの下を覗き込み、**「地面に黒い染み(オイル溜まり)ができていないか」**を確認する癖をつけさせてください。これだけで、出先での大惨事の8割は防げます。

② 車検時の「予防整備」を徹底する

「壊れたら直す(事後保全)」という考え方は、老朽化したトラックには通用しません。 車検や3ヶ月点検の際、整備工場に対して**「油圧ホースなど、劣化して危なそうなところは、漏れる前に積極的に交換してください」**と指示を出しましょう。数万円の部品代をケチって、現場で数百万円の損害を出す。これほど馬鹿らしいことはありません。

③ 各車両に「オイル処理キット」を常備する

どれだけ予防しても、機械である以上100%は防げません。万が一、現場で漏らしてしまった時の「初動」が運命を分けます。 オイル吸着マット、オイル洗浄剤、バケツ、ブラシ等を各車両に必ず常備させてください。漏れた直後にドライバー自身が迅速に処理・洗浄できれば、アスファルトの打ち替えという最悪の事態(多額の賠償)を防ぐことができ、荷主に対する誠意も示せます。

3. そして一番大事な「究極の対策」とは

しかし、ホースを交換し、マットを積んでいても、いつかは車両自体の限界が来ます。 オイル漏れの恐怖から完全に解放されるための一番大事で、究極の対策。

それは、**「安全に車両を買い替えられるだけの利益を確保するために、荷主と運賃交渉を行うこと」**です。

「新車が高くて買えないから、古いトラックで頑張る」 この精神論は、もはや美徳ではなく、荷主の現場を汚染するリスクを放置しているのと同じです。

「社長、今の運賃のままでは適切な車両の入れ替えができず、御社の現場でオイル漏れ等の重大なトラブルを起こすリスクが高まっています。安全かつ確実な輸送を継続するため、運賃の改定にご理解いただけないでしょうか」

これが、私たちが荷主に対して突きつけるべき「正当な理由」です。


まとめ:予防整備と新車導入の原資は「運賃」から

オイル漏れは、トラックからの「限界のサイン」であると同時に、会社の「利益構造の限界のサイン」でもあります。 現場の日常点検と緊急対応キットの配備を徹底させつつ、経営者はその根本原因を断ち切るための運賃交渉のテーブルに着かなければなりません。


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この記事を書いた行政書士

岩本 哲也

運送業の現場と経営に現時点で27年間携わる現役の行政書士。
運送会社で配車・営業・運賃交渉に関わってきている経験をもとに、
運送業のリアルな課題や裏話を法律と現場の両面から解説しています。

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