運送業の経営者の皆様。お疲れ様です。

「講習を受けに行かせたいけど、平日丸一日潰れるのは痛いなぁ…」 「基礎講習なんて3日間も拘束される。その間、誰が配車するんだ?」

運行管理者や補助者を選任する際、避けて通れないのが「講習」の受講です。 しかし、ただでさえ人が足りない現場において、貴重な戦力を長時間外出させるのは、経営者にとって頭の痛い問題でした。

結論から言います。今はもう、無理して会場に行く必要はありません。

運行管理者講習(基礎・一般)は、インターネット(eラーニング)での受講が全面的に解禁されています。

今回は、忙しい運送会社の救世主とも言える「eラーニング講習」の仕組みと、現場が知っておくべきメリット・デメリット、そして「絶対にやってはいけない注意点」について解説します。


「基礎」も「一般」もネットで完結する時代へ

以前は、会場に足を運び、パイプ椅子に座って講師の話を聞くのが当たり前でした。しかし、制度改正とコロナ禍を経て、現在は以下の講習がネット受講可能です。

  1. 一般講習(2年に1回の定期受講)
    • 5時間の講義を、パソコンやタブレットで受講可能。
  2. 基礎講習(新任・補助者が受ける講習)
    • これが最大の朗報です。 あの「3日間(計16時間)」の缶詰講習も、ネットで受講できるようになりました。

これにより、地方の会社がわざわざ都市部の会場まで出張したり、業務が忙しい平日に無理やり休みを取らせたりする必要がなくなりました。


経営者が知るべき「eラーニング」3つのメリット

現場目線で見ると、単に「楽ができる」以上の経営的メリットがあります。

1. 「スキマ時間」で受講できる

これが最強のメリットです。 会場型は「指定された日時の朝から夕方まで」拘束されますが、eラーニング(特にNASVA以外の民間認定機関)の多くは、期間内であれば24時間いつでも、分割して受講可能です。 「今日は配車が暇だから1時間だけ進めよう」「ドライバーが帰庫するまでの待ち時間に少し見よう」といった柔軟な対応が可能です。

2. 交通費・宿泊費・移動時間の削減

会場までの往復交通費、遠方の場合は宿泊費、そして何より「移動しているだけの無駄な時間」がゼロになります。これは実質的な人件費削減です。

3. 土日・祝日も活用できる

民間機関のシステムなら、土日や深夜でも受講できます。「平日はどうしても現場を離れられない」というプレイングマネージャーにとっては、これしか選択肢がないと言っても過言ではありません。


【要注意】「流し見」は絶対にバレる!厳しい監視システム

「ネットなら、動画を流しっぱなしにして、横で別の仕事ができるじゃん!」

そう思った方、絶対にやめてください。 運行管理者講習のeラーニングは、YouTubeを見るのとはわけが違います。不正受講を防ぐために、かなり厳しい監視システムが導入されています。

  • Webカメラによる常時監視: 受講中はパソコンのカメラが常にあなたの顔を認識しています。
  • 居眠り・離席検知: 画面から顔が外れたり、目を閉じていたりすると、AIが検知して講義がストップします。
  • 本人確認(なりすまし防止): 開始時や途中で顔認証が行われ、替え玉受講は不可能です。

「スマホをいじりながら」「配車を組みながら」の受講は、システムに弾かれて時間が無駄になるだけです。受講する際は、必ず集中できる環境を用意してください。


どこで申し込める? NASVAと民間機関の違い

現在、eラーニング講習を提供しているのは主に2つのルートがあります。

1. NASVA(自動車事故対策機構)

  • 特徴: 公的機関なので安心感がある。
  • 受講料: 一般講習 3,200円(安め)。
  • 注意点: 予約が埋まりやすい時期がある。

2. 国土交通大臣認定の「民間講習機関」

  • 特徴: ヤマト・スタッフ・サプライや各教習所系など多数参入。予約が取りやすく、システムが使いやすいところが多い。
  • 受講料: NASVAより若干高めの場合が多いが、利便性は高い。
  • 注意点: 「基礎講習」を実施している機関と、「一般講習」のみの機関があるので確認が必要。

「運行管理者講習 eラーニング」で検索すれば、多くの認定機関が出てきます。自社のスケジュールに合うところを選びましょう。


まとめ:ツールを使って「賢く」資格を維持しよう

運行管理者の資格者証は、運送会社にとっての「免許証」です。 講習の未受講は、監査での指摘事項になるだけでなく、万が一の事故の際に行政処分が重くなる要因にもなります。

「忙しくて行かせられなかった」という言い訳は通用しません。 eラーニングという便利な武器を使って、業務を止めずに、賢くコンプライアンスを守りましょう。

運行管理者の皆様、講習の受講とあわせて、自社の帳票管理に抜け漏れがないか、こちらの無料ツールでサクッと診断しておくことをお勧めします。

この記事を書いた行政書士

岩本 哲也

運送業の現場と経営に現時点で27年間携わる現役の行政書士。
運送会社で配車・営業・運賃交渉に関わってきている経験をもとに、
運送業のリアルな課題や裏話を法律と現場の両面から解説しています。

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