運送業の経営者の皆様、本日もお疲れ様です。
同じ年式のトラック、同じ走行距離。それなのに……
- Aさんのトラック: 5年経ってもエンジンは快調、燃費も良く、内装もピカピカ。
- Bさんのトラック: 毎年どこかが壊れ、タイヤはすぐに丸坊主、燃費は最悪。
この差は一体どこから生まれるのでしょうか?
「運が悪かった」? いえ、違います。これは明確な**「技術と意識の差」であり、経営者にとっては「利益に対する背任行為」**と言っても過言ではありません。
今回は、私の経営する会社で実際に起きた「実話」を元に、修理費という名の利益泥棒の正体と、その改善策についてお話しします。
1. 「スタッドレスを1シーズンで潰す」足元の狂気
以前、弊社のドライバーで、新品のスタッドレスタイヤをたったワンシーズンで使い物にならなくしたケースがありました。
通常なら2〜3シーズンは持つはずのタイヤが、なぜボロボロになったのか。
原因は明白でした。「急カーブ」と「急ブレーキ」の多用です。
荷物を積んだトラックの重量は何トンもあります。その慣性エネルギーを、ハンドル操作とフットブレーキだけで強引にねじ伏せようとすれば、接地面であるゴムが悲鳴を上げ、削れていくのは物理の法則です。
「止まればいい」「曲がればいい」という運転は、会社のお金をアスファルトに擦り付けて捨てているのと同じです。
2. 「毎年クラッチ交換」という悪夢
また、「毎年クラッチ板を交換しなければならない」というドライバーもいました。
整備工場の方も「またですか?」と呆れ顔です。
原因は**「半クラッチの使いすぎ」という悪い癖**でした。
発進時や変速時に、必要以上にアクセルを吹かしながらダラダラとクラッチを繋ぐ。本人は無意識かもしれませんが、その数秒間、クラッチ板は猛烈な摩擦熱で焼かれ続けています。
これは「ヘタだから」で済ませてはいけません。プロとして**「動力伝達の仕組み」を理解していない証拠**であり、徹底的な指導(矯正)が必要な案件です。
3. 「ゴミ屋敷」のトラックは、必ず壊れる
そして、私が長年の経験から確信している**「ある法則」**があります。
「車内がゴミ屋敷のように汚いドライバーの車両は、故障が多い」
ダッシュボードに埃が積もっている、足元に空き缶が転がっている。
こういうドライバーは、総じて**「異音」や「異臭」に鈍感**です。
- エンジン音の微妙な変化
- ブレーキの鳴き
- 水温計のわずかな上昇
トラックは壊れる前に必ず「予兆(サイン)」を出しています。
自分の仕事場(キャビン)すら管理できない人間が、精密機械であるエンジンの機微を感じ取れるはずがありません。結果、小さな不調を放置し、エンジンブローなどの「再起不能な大故障」を招くのです。
4. 修理費10万円は、売上10万円ではない
経営者の皆様、そして現場のドライバーさん。ここが一番大事な話です。
もし、乱暴な運転で修理費が 10万円 かかったとします。
「じゃあ、10万円分余計に走って稼げばいいんだろ?」と思うかもしれません。それは大きな間違いです。
運送業の純利益率が仮に「2%」だとしましょう。
失った10万円の利益を取り戻すために必要な「売上」はいくらか?
たった一度の修理費を穴埋めするために、500万円分の荷物を運び、走り回らなければならない。
乱暴な運転や整備不良は、皆さんが汗水流して稼いだ「毎年の微々たる純利益」を、確実に、そして残酷に削り取っていくのです。
まとめ:運転技術とは「会社資産の管理能力」である
「あの人のトラックはなぜ故障しないのか?」
答えはシンプルです。彼らはトラックを「ただの乗り物」ではなく、**「自分と家族を食わせてくれる大切なパートナー(資産)」**として扱っているからです。
- 急操作をしない(タイヤ・ブレーキを守る)
- 半クラを最小限にする(駆動系を守る)
- 車内を綺麗にし、異音に耳を澄ませる(エンジンを守る)
これらを徹底させることこそが、どんな節税対策よりも確実な「利益確保」の手段です。
「車両管理とドライバー教育」にお悩みの経営者様へ。
「口うるさく言ってもドライバーの意識が変わらない」
「修理費がかさみすぎて、利益が残らない」
そんな時は、運送会社を自ら経営し、現場の痛みを知る行政書士である私にご相談ください。
精神論だけでなく、「数字」と「仕組み」でドライバーの意識を変える教育体制をサポートします。
この記事を書いた行政書士
岩本 哲也
運送会社の経営に携わる、現場経験豊富な現役の行政書士。 法律知識と現場感覚を掛け合わせ、運送業経営者のための実践的なコンサルティングを得意とする。
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