運送会社の経営者の皆様、本日もお疲れ様です。 燃料価格の高騰、社会保険料の増額、そして賃上げ対応……。私たちの経営を圧迫するコスト増は、もはや自社の努力で吸収できるレベルを超えています。

それなのに、荷主への運賃改定の打診を「お願い(お願い営業)」で済ませていませんか?

「お願い」は、相手の善意に依存します。つまり、相手が「NO」と言えばそれまでです。 これを**「権利」**に変えるために必要なのが、運送基本契約書における「協議条項」のアップデートです。


1. 多くの契約書に眠る「条項」を叩き起こせ

一般的な契約書にも「社会情勢の変化により、運賃の変更が必要な場合は協議する」といった文言は入っているかもしれません。しかし、これでは弱すぎます。

「協議する」だけでは、話し合いのテーブルに着く義務はあっても、**「いつ」「どのタイミングで」「何を根拠に」**変えるかが曖昧だからです。荷主に「今は苦しいから時期尚早だ」と言われれば、そこで試合終了です。

2. 【実戦】権利に変える「魔法の一文」はこれだ

私が推奨する、交渉を「権利」に変えるための具体的な条項案は以下の通りです。

第〇条(運賃および料金の改定)

  1. 燃料価格、物価、人件費、公租公課その他の経済情勢の著しい変動により、現行の運賃・料金が不適当となったと判断される場合、乙(運送事業者)は甲(荷主)に対し、運賃等の改定を申し入れることができる。
  2. 前項の申し入れがあった場合、甲乙は遅滞なく協議を開始するものとする。
  3. 燃料価格が基準価格から〇%以上変動した場合は、別途「燃料サーチャージ」の算出基準に基づき、自動的に運賃に反映させるものとする。

ここポイント!

  • 「遅滞なく協議を開始するものとする」: 荷主には「無視する権利」がなくなります。話し合いのテーブルに着くことを法的な義務にします。
  • 「自動的に反映」: 燃料費など変動の激しいコストは、協議すら不要な「自動スライド制」に持ち込むのが理想です。

3. 「改正法第12条」をバックボーンにする

2026年現在、書面交付義務(法第12条)の強化により、荷主も契約内容の明確化に対して非常に敏感になっています。

「とりあえず今までのままで」という曖昧な態度は、荷主側にとっても「トラックGメン」の監視対象になるリスクを孕んでいます。 「法律が変わったので、今の実態(コスト増)を反映させた契約書に整えましょう」という提案は、今、最も通りやすい正論なのです。

4. 交渉の「起点」を契約書に置くメリット

契約書にこの一文があるだけで、現場の担当者はこう言えるようになります。 「社長、契約書の第〇条に基づき、燃料費の変動が基準を超えたので、来月からの単価について協議の場を設けさせてください」

これは「お願い」ではなく、**「契約の履行(決まったルールを実行すること)」**です。 この言葉の重みの違いが、数年後の貴社の利益を1,000万円単位で変えることになります。


まとめ:「契約書」は、あなたの会社の「最強の営業マン」になる

「お願い」して頭を下げる経営は、もう終わりにしましょう。 あなたが日々提供している「確実に荷物を届ける」という価値には、正当な対価を受け取る権利があります。

拙著『【トラック新法対応】「お願い」する運賃交渉を、今日で卒業する本。』でも、こうした具体的な条項の作り方と、その背景にある「勝てる原価計算」を詳しく解説しています。

法律と契約を味方につけ、対等なビジネスパートナーとしての地位を確立しましょう。


「自社の契約書、このままで大丈夫か?」と不安な経営者様へ。

「昔作った契約書のままで、法改正に対応できていない」 「荷主が納得せざるを得ない、具体的な条項案を作ってほしい」

そんな経営者様に代わり、現場を知る行政書士である私が、貴社の契約書を「戦える武器」へとブラッシュアップします。

  • 【契約書診断・初回無料】 今お使いの契約書の「穴」を見つけ出し、改善案を提示します。
  • 【実戦的交渉サポート】 単なる書類作成だけでなく、荷主への「切り出し方」までアドバイスします。

この記事を書いた行政書士

岩本 哲也

運送会社の経営に携わる、現場経験豊富な現役の行政書士。 法律知識と現場感覚を掛け合わせ、運送業経営者のための実践的なコンサルティングを得意とする。

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▼「運賃交渉」を学びたい方へ 適正原価等、深く解説した書籍を執筆しています。「どんぶり勘定」を卒業し、自信を持って経営判断を下したい方は、ぜひご一読ください。 [【トラック新法対応】「お願い」する運賃交渉を、今日で卒業する本。]980円