運送業の経営者の皆様、本日も安全運行、本当にお疲れ様です。

「荷主に運賃改定の話をしたいけれど、切り出すきっかけがない」

「長年の付き合いで、今さら契約書なんて言いにくい」

そんな悩みをお持ちではありませんか?

実は今、私たち運送会社にとって、これ以上ない**「交渉の追い風」が吹いています。それが、改正貨物自動車運送事業法第12条に基づく「書面化義務」**です。

今回は、この法律を単なる義務としてではなく、荷主と対等に話すための「最強の武器」として活用する方法をお伝えします。


1. 「改正法第12条」は、あなたを守る最強の盾である

2025年(令和7年)から段階的に強化され、2026年4月には白トラ規制も含めた完全な運用フェーズに入った改正法。その核となるのが「第12条」です。

これは、運送契約の内容(運賃、付帯業務、待機時間料など)を、必ず書面や電磁的記録で交付することを義務付けたものです。特筆すべきは、これが**「運送事業者と荷主の両方」**に課せられた義務であるという点です。

つまり、書面を交わさないことは、あなただけでなく**「荷主にとっても法令違反(コンプライアンス違反)のリスク」**になるのです。

2. なぜ「運賃表」だけでなく「基本契約書」なのか?

多くの会社が「運賃表の改定」だけで済ませようとします。しかし、それだけでは不十分です。

今の時代、私たちが確保すべきは「単価」だけではなく、**「実務上の権利」**だからです。

運送基本契約書を結び直すことで、以下の項目を明確に定義できます。

  • 荷役・付帯業務の別建て料金: 「ついでにこれもお願い」というタダ働きを拒否する根拠。
  • 待機時間料の発生条件: 荷主都合の待ち時間をコストとして請求する権利。
  • キャンセル料の規定: 直前のキャンセルによる損失を補填するルール。
  • 運賃改定の協議条項: 燃料高騰やコスト増の際、自動的に「話し合いのテーブル」に着ける仕組み。

これらのルールを**

$$運送基本契約書$$

**という形で合意しておくことで、現場のトラブルを「経営の数字」として解決できるようになります。

3. 交渉を有利に進める「魔法の切り出し方」

荷主に話を切り出すとき、「運賃を上げてください」から入ると、相手は身構えます。

しかし、法改正を理由にすれば、相手の反応は劇的に変わります。

「社長、ご存知の通り、改正トラック法で『契約内容の書面化』が私たち双方に義務付けられました。 荷主様が法令違反やトラックGメンの調査対象にならないよう、この機会に契約書を最新の状態に整えさせていただけませんか?」

このように、**「荷主様のリスクを回避するために、プロとして提案している」**というスタンスを取るのです。これが、角を立てずに、かつ協力的な姿勢を引き出すための「行政書士流」の交渉術です。


まとめ:法律を「やらされるもの」から「使うもの」へ

「標準的な運賃」がいつまでも私たちを守ってくれるわけではありません。

最終的に会社を守るのは、国でも協会でもなく、あなたが荷主と結んだ**「一枚の契約書」**です。

拙著『【トラック新法対応】「お願い」する運賃交渉を、今日で卒業する本。』でも詳しく書かせていただきましたが、法律を味方につければ、私たちは「お願い」する立場から「提案」するパートナーへと変われます。

このチャンスを逃さず、まずは自社の契約状況を見直すことから始めてみませんか。

「『運送基本契約書』の雛形をお探しですか? 私の著書(Amazon)の購入特典として、Word形式で無料ダウンロードできます。」

この記事を書いた行政書士

岩本 哲也

運送会社の経営に携わる、現場経験豊富な現役の行政書士。 法律知識と現場感覚を掛け合わせ、運送業経営者のための実践的なコンサルティングを得意とする。

▼運送業の経営に関するご相談はこちら [お問い合わせ]

▼ホームページ[行政書士岩本哲也事務所]

▼「運賃交渉」を学びたい方へ 適正原価等、深く解説した書籍を執筆しています。「どんぶり勘定」を卒業し、自信を持って経営判断を下したい方は、ぜひご一読ください。 [【トラック新法対応】「お願い」する運賃交渉を、今日で卒業する本。]